『木の葉天狗(このはてんぐ)の〝イカ〟』
天狗には、たくさんの種類があります。
くちばしを持っているのは、烏天狗。
木の葉天狗は、その一種です。
天狗界でのランクは、下っぱ。
ですが、民間伝承では、
赤ら顔の長い鼻で有名な大天狗よりも、
歴史が古いようです。
昔から、山で起こる不思議なことを、
「天狗のしわざ」として、さまざまな地域で言い伝えられています。
夜中に大木を切り倒す音が聞こえるんだけど、あとで見に行くとなんの形跡もない、「天狗倒し」とか、
山で、どこからともなく大きな笑い声が聞こえる「天狗笑い」とか。
わたしは、身近なところに山が無かったので、
そういう体験をしたことはありません。
それでも、登山に行くと、山が持っている、
人間が立ち入れない雰囲気を、なんとなく感じて、
天狗という架空の存在が、いるような気になります。
実際に見た、っていう記録も残っていますが、本当なのかなあ…?
山で起こる怪奇現象は、
だいたい妖怪とかもののけ、山の神のしわざとされていたので、
山にいるのは天狗だけではないはずです。
それでも、天狗は信仰の対象になったり、
固有名詞がつくほど有名な天狗もいて、かなり人気があります。
なんかもう、アイドルみたいですね。
人は、不可思議なことや、理解できないことがあると、解明したがります。
どうしても説明がつかないものを、
架空の存在を使って納得して、信仰にまでするっていうのは、
人の想像力の、ほんとうにおもしろいところだと思います。
高尾山の烏天狗
絢